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2016年の3月、今から2年前にロディーナは社会保険に加入しました。
普通の人が聞いたらなんで入ってないのっていわれそうですが、美容業界は入ってない所の方が多いのが現状です。
美容室は個人事業としてやってるから社保には入ってないって所も多いし、法人でもこれから入るのを検討しているって所もたくさんあります。ロディーナもそれまでは検討しているところの一つでした。
なぜ、美容業界は社会保険に入ってないところが多いのかというと、「入ってない」っていう言うよりは、「入れない」って言った方が正しいのかもしれません。社会保険に加入するとご存知のように保険料の半分を会社が負担する事になります。その負担が労働集約型ビジネスで生産性低い業態の美容室にとってはめちゃくちゃ大きな負担になってくるんですね。
だから加入していない所が多い。
加入したら会社がやってけなくなっちゃう所がたくさん出てくる可能性があるほどです。法人化したら社会保険の加入は義務づけられてるわけなんですが、なかなかそうもいかないのが現状なんですね。
実際にロディーナも社会保険に加入してどんな事が起きたのかっていうと、会社の利益がほぼなくなりました。店舗の移転っていうお金のかかるのタイミングで加入したボクもバカですが、一気にお金が無くなっていきました。
はっきり言いますね。
美容室が社会保険入って得られるメリットはほぼありません。社会保険に入ってるからって入社希望者が増えたわけでもないし、就職ガイダンスに参加してもどしどしお話しを聞きに来てくれるわけでもない。スタッフのモチベーションが劇的に上がるわけでもないし、支払いがめちゃくちゃ増えるにもかかわらず売上は変わらない。家賃一件分以上のお金が毎月必ず出ていくんだからホントいいことないっす。
でも、スタッフ側から見たらたくさんのメリットがあるんじゃないかなって感じています。
今まで自分で支払っていた健康保険と国民年金をわざわざ自分で払わなくてもよくなるし、今まで支払っていた合算の金額よりも少なくなるから手元に残るお給料も増えるし。そして、万が一、スタッフになんかあったときに社会保険の協会からの手当がでるのが大きい。例えば、病気になってしばらくお仕事をお休みしなければいけなくなった時には傷病手当金っていうのがお給料の2/3支給程度されます。奥さんや子供を扶養に入れることもできるし、産前産後の手当金も2/3程度支給されます。
万が一、何かがあって働けなくなったときにスタッフが安心できるのは社会保険に加入しているからって事。万が一何かが起きることってあんまりないかもしれないけれど、それでも起きてからじゃ遅いし、働けなくなったときに収入がゼロになるのは大変じゃない。経営者は役員報酬だから働かなくても収入があるけどスタッフはそうはいかないもんね。
実際、ボクの父親が病気で亡くなる時も、その前とかにしばらく入院とかしてたから、たくさん会社を休んでたと思うんですね。今考えると、そういう手当金がうちにも支給されてたんだなって思うんです。ボクはその恩恵をたくさん受けて育ってきた。だからボクの母親は社会保険に入ることをいつもいつも口うるさく言ってたんだなって、今になれば思います。
もう一度言いますね。
美容室が社会保険に加入して得られるメリットはほぼありません。経営が大変になることは目に見えてるし、それで会社がつぶれるくらいだったら加入しない方がよっぽどいい。
だけどもし、スタッフを雇用しているとしたら、スタッフ目線で見たら加入した方が絶対にいいとボクは思います。だから少なくとも、「スタッフの安心感」を考えたら、それだけで社会保険に加入してよかったなってボクは思っています。
だからと言って、入社希望はまったく増えないし、売上も上がらないけどね。
あ、社会保険に入ってないと受給できない助成金はたくさんあるからそれだけはメリットかもしれないな。
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